今度のロボットはおじいちゃん!?~映画「ロボジー」~

今度のロボットはおじいちゃん!?
~映画「ロボジー」~

今まで数多くのロボット映画が製作されてきましたが、中に人間が入ったロボットはいなかったのではないかと思います。しかもただの人間ではなくおじいちゃんなのです!そんな前代未聞のロボット映画「ロボジー」についてと、その出演者であるミッキー・カーチス、吉高由里子についてまとめました。

吉高由里子の出世作「蛇にピアス」

「蛇にピアス」は、金原ひとみの小説です。第27回すばる文学賞を受賞した作者のデビュー作で、綿矢りさの「蹴りたい背中」とともに、第130回芥川龍之介賞を受賞しました。2008年9月20日、作者本人の意向を受けて、蜷川幸雄監督による映画化がされ、吉高由里子はその主人公・ルイ役を怪演しました。ピアスや刺青による肉体改造などがテーマとなっており、過激な役柄を体当たりで演じ、この作品で吉高は日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しています。

ストーリー

登場人物

  • ルイ・・・本作の主人公。19歳。アマのスプリットタンに惹かれ、身体改造に興味を持ち始めます。登録制のアルバイトをしており、そこでの「つくりものの自分」は人当りが良い様子です。本名は中沢ルイです。
  • アマ・・・ルイと同棲している男。スプリットタンの他にも顔中にピアスをしたり、背中に派手な刺青をしたりとかなりの身体改造を行っています。しかしルイには忠実で、彼女の指示には素直に従うタイプ。古着屋でアルバイトをしています。本名は雨田和則です。
  • シバ・・・身体改造の店を営む男。刺青を彫るのがほとんどですが、ピアスも扱っています。表情が分からないほど多くのピアスを顔に刺していますが、「人の形を変えるのは神だけに与えられた特権」という持論からスプリットタンにはしていません。かなりのサディストです。本名は柴田キヅキです。

あらすじ

19歳のルイは、渋谷の街を何をするでもなくふらついていました。そんな毎日に刺激を与えたのは、クラブで出会ったアマという男でした。彼は赤毛のモヒカンに、眉と唇にはピアス、背中には大きな龍の刺青を入れていました。そして、彼の最大の特徴は、蛇のように二つに割れた舌、スプリットタンでした。ルイはアマのスプリットタンに惹かれ、そして自分とは全く違う世界に住む彼自身にも惹かれ始めます。自身もスプリットタンにしたいというルイを、アマは怪しげなタトゥーショップへと連れて行きます。その店の店長・シバは顔中にピアスを付け、体には様々な刺青を入れたパンクな風貌の彫師でした。ルイはシバに頼んで舌に穴をあけてもらい、拡張を繰り返して穴を大きくしていきます。さらにルイはアマやシバのように最高の絵を自分の体に刻みたいと願うようになります。サディストのシバは、ルイにマゾヒストの要素を見出し、セックス1回で刺青を彫ることを了承します。彼女が選んだ絵はアマの龍とシバの腕に入った麒麟の絵でした。ルイは、アマと一緒に暮らしながらも、シバとひそかに関係を続けます。彼らとの恋愛と、ピアスと刺青による痛みだけが、生きる意味が見つからない不安で空虚な毎日から彼女を救ってくれていたのでした。心地よくて危ない一瞬一瞬を重ね、ルイは毎日を生きていたのでした。そんなある日、アマが行方不明になり、数日後、無残な姿で発見されます。この事件をきっかけにルイの心は壊れていき、彼らの運命は思わぬ方向へと突き進んでいくのでした・・・。

キャスト

  • ルイ・・・吉高由里子
  • アマ・・・高良健吾
  • シバ・・・ARATA
  • マキ・・・あびる優
  • ユリ・・・ソニン
  • 刑事・・・市川亀治郎
  • バイトのマネージャー・・・井手らっきょ
  • 吉田光洋・・・小栗旬
  • 受付の警察官・・・唐沢寿明
  • 横山悟・・・藤原竜也

スタッフ

  • 監督・・・蜷川幸雄
  • 脚本・・・宮脇卓也、蜷川幸雄
  • 原作・・・金原ひとみ
  • 製作・・・宇野康秀、長谷川安弘、梅川治男
  • 製作総指揮・・・星野有香、森重晃
  • 音楽・・・茂野雅道
  • 撮影・・・藤石修
  • 録音・・・弦巻裕
  • 編集・・・川島章正
  • CGプロデューサー・・・豊嶋勇作
  • 特殊メイク・・・宗理起也
  • ヘアメイク・・・梅原麻衣子

原作の評価

芥川賞の選評では、細部描写の秀逸さと、派手な道具立ての裏にある物語の純粋さが評価されました。選考委員の石原慎太郎は受賞作発表後の記者会見において、この回の候補作全体に対して否定的な見解を示しており、「今年は該当作なしでも良かったんじゃないか」と前置きしたうえで、それでも同時受賞した2作品の「蹴りたい背中」・「蛇にピアス」からいずれかを選ぶならば「蛇にピアス」を推すとしています。なお、単行本化にあたり結末部分が直されているのですが、その点について福田和也や関川夏央などは、直す前の方がよかったと指摘しています。

感想

ちょうど私が高校生の頃、金原ひとみの小説がちょっとしたブームになりました。高校生の頃って皆どこかに鬱屈としたものを抱えていて、こういう暗くて湿った物語に共感しやすい時期だったのだと思います。この「蛇にピアス」ももちろん読んでいて、過激な描写と鬱々としたストーリーにのめり込み、読了後はしばらく引きずって生活していたのを良く覚えています。何年か経って、映画化されると聞き、しかも主演は吉高由里子、監督は蜷川幸雄というのですから、観ないわけにはいかないだろうと劇場に足を運びました。映画は冒頭から暗くて汚い渋谷の街を映し出し、ルイがふらふらとクラブへと入っていくシーンから始まります。ルイは自分が生きている意味が見いだせず、自分は何も持ってない、だれも理解してくれないと常に空虚な思いを抱えています。一方、ルイがクラブで出会ったアマは、見た目こそ奇抜なものの、中身は無邪気でピュアな優しい青年です。ルイが彼のそういう温かさに惹かれる理由もなんとなくわかるなあと思いました。ルイは主体性がほとんどなく、色んな人の言われるがまま、流されて生きています。アマの優しさに惹かれたり、シバの強引さになびいたり、痛みでしか生きていることを実感できなかったり。今の若い人は多かれ少なかれそういう部分を抱えているのではないかなと思います。その発散方法は人それぞれで、スポーツをしたり、家族に悩みを話したり、友達を口を言い合ったりして上手く毒を抜いていくものですが、ルイはそういうことがすごく下手な子だったのでしょう。過激な描写や吉高由里子のヌードばかりが取り沙汰されていますが、その裏にある誰もが抱えたことのある心の闇の描き方は、とても繊細で共感できるものでした。